撮影とスタジオ照明と同様に、照明はビデオや映画制作の重要な要素であり、監督や撮影監督が作り出す劇的な効果を表現するための強力なツールです。常に静止している場面を照らす写真照明とは違い、映画照明は、常に動的シーンに使用されていますが、写真照明のように高演色と正確な色彩を求めている事は、変わりません。

映画撮影には、肌色の表現が常に重要な要素の一つです。特にモーションフィルムは、どんな細かいところでも、混乱する事は許されません。ここで、うまく表現できる鍵となるのは、光源の安定性と一貫性、色の品質です。勿論、ここの「色の品質」は、演色性のみならず、色の維持と色許容差とも関係があります。

月の光や、太陽の光のシュミレーションは、調整できる照明環境が必要です。照明監督は、通常、ハードライトとソフトライトを使い分け、色々な場面に相応しい撮影シーンを造ります。それは両者の照明スタイルが異なっているからで、右図にあるように、ハードライトは常時フレネルライトで明確な影 (ハード) を生むのに対し、ソフトライトは常時照明パネルで影は明確には現れない表現　 (ソフト) 効果があります。

カメラには、其々の分光感度がある為、異なるカメラで表現された画像やビデオの色調には違いが見られます。一般的に緑かマゼンタ(赤紫)色の傾向があるので、分光器で測定される標準白色光は、必ずしも同じではありません。

例えば、カメラAは一般に緑の傾向、カメラBはマゼンタ(赤紫)の傾向がある場合、少なくともライト2台でカメラの調整に取り掛らなければなりません。

• ライトA：カメラAを調整するためのマゼンタ(赤紫)色の色調
• ライトB：カメラBを調整するための緑色の色調

これは決して簡単ではない事は言うまでもなく、多くの費用と時間が掛かります。そして 逆光補正の機能は、常に正しい白色を保持する為に、ユニバーサルライトにとって非常に重要となります。

理想的なドラマ効果を実現する為には、常に色々な色を追加し、様々なゲル剤を研究する必要があります。高品質の白色光の他に、正確かつ全色域の色が必要です。

色の追加は、思ったより容易な事ではありません。様々なゲル剤に固有の定義があるので、様々な色相と彩度の調整が必要とされます。それは光が合理的に使用されるかどうかがポイントです。先進的なLED技術では、正確なカラーポイントを実現する為に、主波長/ピーク波長と互いの許容差を制御できるかどうかが、鍵になります。

定量化の原理として、単色光は主に CIE図の上で 特定の色度座標に到達し、且つ、長時間実働した後も、その安定性と一貫性を維持しなければなりません。総合的な効果を得るためには、2つ以上の単色を混合する場合、色の安定性と一貫性を維持することが、より重要になります。色のいずれかが安定しなくなると、色システムの全体の乱れにも影響を及ぼします。

白色光は、単色光より、自然光のシミュレーションを重視しています。これはエネルギースター(Energy Star)の定義とは異なります。エネルギースターは白色光のDUV許容範囲を±0.006に定義し、DUVを昼光CCTのプラス値として目標にしています。 映画撮影の理想的な白色光は、全てのCCTがブラック軌跡（黒体軌跡）に近く、許容範囲が0±0.003になる事です。これでなければ、理想的な白色光を得られません。

映画は動的シーンで構成されたものです。そのうち、芸術的効果を創造する為によく使用されているスローモーションは、ちらつきの無い照明環境が必要とされます。普通にフリッカフリーに見える照明でも、カメラを高速モードで撮影すると、ちらつきが見えてくるかもしれません。

蛍光灯の発光原理は、電気パルスが点灯管内の水銀蒸気を励起し、その水銀蒸気により生成された紫外線が、蛍光体に当たって可視光線に変換する事です。蛍光灯のちらつきは、安定器が約5KHzで高速の電気パルスを提供している為、一般に目では感知されませんが、高速で撮影する場合には感知される可能性があります。という事で、一般的な蛍光灯は、撮影照明に向いておりません。

フリッカー調光器付きのLED

240 FPSでの撮影

フリッカーフリー調光器付きのLED

240 FPSでの撮影

LEDは直流給電の為、正しい駆動電流を使えば、それ自体にちらつきは発生しません。但し、ACをDCに変換する場合、ドライバーが整流とフィルター処理を含む一連のタスクを実行する過程の中で、ちらつきが生じるかもしれません。例えば、パルス幅変調（PWM）の場合、120 FPSでの高速撮影で、ちらつきを避ける為には、周波数を少なくとも25KHzにする事が推奨されます。

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